名古屋市科学館で「壁面緑化のしくみ」が観察できます!

名古屋市科学館は地球環境に優しい施設として設計され、省エネにも貢献できるように太陽光発電や風力発電、壁面緑化、雨水などの再利用が行われています。

名古屋市科学館の「壁面緑化」は、理工館中央のシースルーエレベーターの両脇壁面と天文館の南側壁面に施されています。「壁面緑化」では、建物の壁面にツル植物を這わせて、夏場の直射日光を遮り、冷房効果を高めるのですが、数十メートルの高さの壁面を覆う「ツル植物」はどのように配置され、管理されているか興味がわきますよね。

普通の建物では、「壁面緑化」の裏側は建物の壁面となっていて、建物の中から「壁面緑化」の裏側を見ることはできませんが、名古屋市科学館では壁面がガラス張りになっていて、理工間や天文館の中から、「壁面緑化」の裏側を観察できます。

また、「壁面緑化」の詳しい説明などは、エントランスホールの「建物の環境配慮設備」という展示品で確認することができます。

名古屋市科学館で施工されている「壁面緑化」の裏側

名古屋市科学館の「理工館」と「天文館」では、外壁の表面温度を抑えることで空調の負荷を軽減したりヒートアイランド現象の軽減をはかろうと、 建物の南面に約1,500㎡の「壁面緑化ユニット」を設置しています。 耐侯性の高い常緑のツル植物のヘデラを主に採用しているとのことで、年間を通じて目に見える形で「環境配慮」をしていることがわかるようになっています。ふだんは見えませんが、屋上の「星のひろば」には芝生による屋上緑化もされています。

名古屋市科学館の「壁面緑化」は、「壁面緑化ユニット」と呼ばれるプランターを上下に並べた構成になっています。光合成をおこなう植物には、光と空気と水が必要ですが、植物が植えられているプランタにはどのように水が供給されているのでしょうか。

プランターをよく見ると、パイプが横に伸びて、左右のプランタをつないでいます。このパイプでプランターに水が供給されるのですね。そしてこの水は、地下の雨水貯留槽から「自動散水緑化装置」で供給されているそうです。

名古屋市科学館の関連展示
名古屋市科学館のエントランスホールにある「建物の環境配慮設備」という展示品は、建物に付属する環境に配慮した装置について、その設置場所や役割を説明しています。太陽光発電装置、風力発電装置などは自然エネルギーを電気エネルギーに変換して館内の電気として使っています。壁面緑化、屋上緑化は直射日光をやわらげ建物の温度上昇を抑えて空調負荷を軽減します。地下には雨水をためる貯水槽があり水道の利用を抑えます。また、クールヒートトンネルは、外部からの空気をいったん地下に通して、夏は温度を下げ、冬は温度を上げてから空調機械に送り込みます。この結果、効率良く空調の温度をコントロールしています。
【縦に取り付けた太陽光パネル】
太陽光パネルは通常、屋根の上に設置します。ところが、科学館の屋上は天体観望会等に使うので装置の設置はできません。そこで、パネルを階段南面のガラスに縦に設置しています。こうすることで公園側からも太陽光パネルがよく見えます。
【雨水を使った自動散水緑化装置】
屋根に降った雨水は地下の雨水貯水槽に貯まります。巨大な水槽で約1000トンの雨水を貯めることができます。その水を屋上までくみ上げ、屋上緑化や、壁面緑化の水として利用しています。散水は毎日自動で時刻や散水量をコントロールしています。
【元の建物を利用】
クールヒートトンネルは旧天文館・理工館の建物地下の構造を利用しています。古い建物の地下まで全て掘り返すと作業も費用もかかりますが、この様に再利用することで無駄が少なく効率の良い空調装置にできるのです。地下だけですが、1960年代に建てられた旧天文館・理工館は残っているのです。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)