名古屋市科学館の天文館内にある小型望遠鏡で、「月」と「小惑星イトカワ」を観察してみよう!

名古屋市科学館は、ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示が目を引きますが、その他の展示物も200点以上もあります。

名古屋市科学館の天文館5階は、「宇宙のすがた」という展示テーマで展示品が配置されていて、広大な宇宙のスケールを実感できるフロアです。また、「宇宙のひろがり」ゾーンには、実物の望遠鏡を使用して星の観察が体験できる展示品もあります。

実物の望遠鏡を使用して星の観察が体験できる展示品としては、倍率の異なる実物の望遠鏡を使用して、名古屋市科学館の天文館5階の外にある「土星」が観察できる、「望遠鏡をのぞいてみよう」という展示品が目を引きますが、それ以外に「月」や「小惑星イトカワ」も小型の望遠鏡で観察できるんです。

「月」や、「小惑星いとかわ」の表面がどうなっているか、望遠鏡をのぞいて観察してみましょう。

理工館5階「宇宙のすがた」の「宇宙のひろがり」ゾーンにある「月の満ち欠け」と「小惑星イトカワ」の展示品

「月の満ち欠け」の展示品

月は、地球の周りを公転する唯一の衛星で、夜空を明るく照らしてくれるので、私たちにとってはとても貴重なものです。また、周期的な満ち欠けがあるので、暦の基準となっているなど、とても身近な存在です。

月は、太陽の光に照らされているので、月全体の半分はつねに明るくなっています。さらに、月は地球のまわりを公転しているので、月をどの方向から見るかによって形が変わっていくように見えます。新月から上弦の月、満月、下弦の月と少しずつ形を変えながら、ほぼひと月(約29.5日)でもとの姿に戻ります。

この展示品では、月周回衛星「かぐや」のデータに基づいた回転月球儀と、それに連動した地球と月の模型で、月の満ち欠けが紹介されています。そして、この展示品の上部には、回転する大きな「月」が展示されていて、数メートル離れた小型望遠鏡で回転する「月」の表面を観察することができます。

【月の呼び方について】
月には、昔から様々な呼び名が付けられています。旧暦1日の月を「新月」、旧暦3日の月を「三日月」、旧暦15日の月を「十五夜の月」と呼び、十五夜の月は満月になることが多くなります。また、旧暦16日の月を「十六夜(いざよい)の月」と呼びます。「いざよい」とは「なかなか進まない」という意味で、満月よりも月の出が遅くなることから、待っていてもなかなか出てこない様子を表しました。さらに旧暦17日の月は、「立待ちの月」と呼び、立って待っているとそのうちに出てくるという意味が付けられています。旧暦18日の月は、「居待ち(いまち)の月」と呼び、座って待っているとそのうちに出てくるという意味です。旧暦19日の月は、「寝待ちの月」と呼び、寝ながら待っているとそのうちに出てくるという意味です。旧暦20日の月は、「更待ち(ふけまち)の月」と呼び、さらに待っているとそのうちに出てくるという意味です。「有明の月」とは、夜明けになっても、まだ見えている月のことを指し、十六夜月よりも後の月を指します。
【月はどうやって生まれたのか】
月がどうやって生まれたのか、いくつかの説が考えられています。地球の一部がちぎれて月になったという「親子説」や、地球と同時にできたという「ふたご説」、太陽系のほかの場所でできたものを地球がつかまえたという「捕獲説」などです。これらは、月の特徴の一部を説明することはできますが、別の特徴は説明できないなどの欠点ももっています。現在、もっとも有力な説は「巨大衝突説」です。これは、地球ができたころに、太陽系に数多く存在した火星ほどの大きさの天体のひとつが、地球に衝突し、大量の物質が周囲に飛び散り、それらが冷えて固まり、衝突・合体を繰り返した結果、月が出来たと考えられています。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)

「小惑星いとかわ」の展示品

「星の世界」という展示品は、天文館5階の外周を、北側入口から右回りに、地球から宇宙の果てまでの天体や事象が並べられた展示品です。そのスケールは、長さを10倍ずつ大きくしていくパワーズオブテン(10のべき乗)の考え方に沿っています。

地球、太陽系の説明や大型スクリーンでは星雲や星団の映像を見ることができます。また、星の大きさ、温度や色、明るさ、連星と変光星、星の一生、星雲や星団、そしてブラックホールまで、星々の世界が紹介されています。展示室中央には、「星座を形づくる星々」という展示品があり、星座を形づくる星の位置や距離が実感できます。

星々の世界の紹介の中に、日本の小惑星探査機「はやぶさ」が調査に行った、「小惑星イトカワ」も含まれていて、数メートル離れた小型望遠鏡で「小惑星イトカワ」の表面を観察することができます。

【星の名前】
星には何通りもの名前があります。ベガとかアルタイルといった名前。これは固有名といい、アラビア語を語源とする名前が多くつけられています。また、おりひめやひこぼしといった日本での呼び名もあります。次に、星座毎に系統的につけられている名前があります。ベガはこと座α星、アルタイルはわし座α星です。これはバイエル名といいます。
ほとんどの星座では明るい星から順番につけられていますが、おおぐま座では、北斗七星のならび順になるなど、例外もいくつかあります。さらに星座毎に番号でつけられたフラムスチード名や、各種天体カタログ毎に分類用につけられた名前があります。いずれの名前も誰もが自由に使えるためにつけられています。また自分がそれぞれの星を好きな名前で呼ぶのも自由です。しかしそれを占有したり販売したりすることはあってはならないことです。星は誰のものでもないのですから。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)