名古屋市科学館は、ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示が目を引きますが、その他の展示物も200点以上もあります。
名古屋市科学館の理工館2階は、「不思議のひろば」という展示テーマで展示品が配置されています。この展示室では、「みる・きく・さわる・うごかす」といった体験を通して、科学の不思議さや楽しさを知ることができます。
地表の水は蒸発して水蒸気となり、上昇し上空で雲をつくります。雲はやがて雨となって地上にもどり、海に注ぎます。「水のひろば」では、この大きな水の循環と水の性質について、さまざまな実験を通して知識を深めることがでます。
理工館2階の「うみのステージ」ゾーンでは、水を活用する時に利用する、ポンプに関する実験ができます。「いろいろなポンプ」という展示では、なじみのある「おうふくポンプ」や「かいてんポンプ」のほかに、大型の展示品で、円筒に巻いたホースを回転させるだけなのに、水をくみ上げることができる「アルキメデスポンプ」も体感できます。
理工館2階の「うみのステージ」ゾーンにある「アルキメデスポンプ」という大型の展示品
理工館2階の「うみのステージ」ゾーンには、「大きな回し車」の中に入って足踏みをすると、円筒に巻いたホースが回転して水をくみ上げる、「アルキメデスポンプ」を体験することができます。
「大きな回し車」を上手に回すには少しコツ(おなかをバーに近づけて、鉛直方向に足踏みすると回り始めます。)が必要ですが、「大きな回し車」が回り始めると、円筒に巻いたホースが回転して、水をくみ上げる様子が確認できます。
ハムスターのように「大きな回し車」を回すのに夢中になって、肝心の「アルキメデスポンプ」が回るのを見ていない方もみえますが、「アルキメデスポンプ」が水をくみ上げている様子も見てくださいね。
高い位置にある水を低い位置に移すことは簡単です。水路を作れば、低い所に水は自然に流れていきます。しかしその反対に、低い位置にある水を高い場所に移すとき、ポンプの力を借りなければなりません。
アルキメデスは紀元前3世紀のギリシアの科学者、工学者です。彼の生まれたシラクサの王・ヒエロン2世は、観光、運輸、そして海戦用の巨大な船「シュラコシア号」の設計をアルキメデスに依頼しました。シュラコシア号はあまりに巨大な船であったために、船に浸水して溜まった水を排出するしくみが必要でした。そこで、彼は円筒の内部にらせん状の板を設けたポンプを考案しました。これがアルキメデスポンプと呼ばれるものです。これを回転させると低い位置にある水を汲み上げ、上に持ち上げることができます。電気のない時代のポンプとして考えられたのでした。
<おうふくポンプ>
こちらは現代のポンプです。しかし、電気で動くポンプではなく手動式のポンプです。
レバーを左右に往復運動させることで、水をくみ上げます。
今レバーが右側にあるとします。レバーを左側に動かすと、弁が開いてポンプ内部の右側の部屋に水が入ります。今度はレバーを右側に動かしますと、右側の部屋にたまった水が押され、開いた弁が閉じ、レバーの軸の部分にある穴をとおって左側の部屋に移動するとともに、上の弁を開けて外に流れだします。
<かいてんポンプ>
これも現代の手動式ポンプです。ポンプの容器の中心と、回転レバーの中心がずれています。レバーを回転させると、ポンプ内にたまった水を可動板が押し出すようにはたらきます。かき混ざらないように液体を移動させたい場合、この回転ポンプが使われます。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)