名古屋市科学館の天文館5階にある「天体望遠鏡で見える土星」は、どこにあるのでしょうか?

名古屋市科学館は、ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示が目を引きますが、その他の展示物も200点以上もあります。

名古屋市科学館の天文館5階「宇宙のすがた」の展示室は、広大な宇宙のスケールを実感できるフロアです。旧天文館で使用されていた、ツァイスIV型というプラネタリウムの実機も間近にみることができます。

天文館5階の「天文学のあゆみ」ゾーンには、倍率の異なる3つの望遠鏡で土星の観察ができる、「望遠鏡をのぞいてみよう」という展示がります。この展示では、「土星を撮影した写真」を実際に観察できるのですが、その写真はどこにあるのでしょうか。

天文館5階「天文学のあゆみ」ゾーンの「望遠鏡をのぞいてみよう」という展示

天文館5階「天文学のあゆみ」ゾーンの「望遠鏡をのぞいてみよう」という展示品は、口径やタイプ、倍率の違いに注目しながら、実際に望遠鏡をのぞくことが体験できます。 望遠鏡をのぞくと「土星」が観察できるのですが、この土星はどこにあるのでしょうか。天文館5階「天文学のあゆみ」の館内にはありませんよ。

口径の異なる3つの望遠鏡でみえる土星をくらべてみるとわかりますよ。最も倍率の小さい望遠鏡で土星を観察すると、何やらエスカレータが見えますね。そう、望遠鏡で観察していた「土星」は、理工館5階のエスカレータの降り口の上部にある「土星の写真」だったんです。

望遠鏡の倍率と口径
望遠鏡の性能はレンズや鏡の直径(口径)で決まります。その上で観測の目的に合わせて、最適な倍率で観測します。倍率をあげれば、像は暗く、見える範囲(視野)は狭くなります。口径の大きい望遠鏡は、光をたくさん集められるので、倍率を上げても像が暗くなることなく観測できます。口径の小さな望遠鏡は、倍率はさほど上げられませんが、代わりに広い視野で観測することができます。惑星や月のクレーターを詳しくみたいときには大口径で高倍率、大きく広がった星雲や星団にはできるだけ低倍率で広い視野を、というように使い分けをするのです。15cm屈折望遠鏡の歴史
この日本光学製15センチ屈折望遠鏡は、1951年「市民に宇宙への夢を」との願いをこめ、東山公園の隣接地に建設された東山天文台に設置されていたものです。天体写真撮影や惑星の観測に用いられました。その後、1964年に旧理工館建築と同時に科学館屋上に移設され1984年まで観望会などで活躍しました
展示にはこの15cm屈折望遠鏡の他に、5cmガリレオ式屈折望遠鏡や5cmケプラー式屈折望遠鏡があり、倍率や視野を比較することができます。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)