名古屋市科学館で「星座を形づくる星々」が体感できるのですが、「北斗七星」の星の数はいくつでしょうか?

名古屋市科学館は、ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示が目を引きますが、その他の展示物も200点以上もあります。

名古屋市科学館の天文館5階「宇宙のすがた」の展示室は、広大な宇宙のスケールを実感できるフロアです。旧天文館で使用されていた、ツァイスIV型というプラネタリウムの実機も間近にみることができます。

名古屋市科学館の天文館5階「宇宙のひろがり」ゾーンには、「星座を形づくる星々」という展示品があり、スコープを覗くと、天井から下げられた、「輝く星」に見立てた電球が、太陽系から見るのと同じ位置関係で並び、星座を体感できます。

さて、「星座を形づくる星々」という展示品で、「北斗七星」を構成する星の数はいくつでしょうか。「北斗七星」というくらいですから、7つですよね。ちょっと待ってください。横から見ると、「北斗七星」を構成する電球の数は7つでは無いようです。

天文館5階「宇宙のひろがり」ゾーンの「星座を形づくる星々」という展示

名古屋市科学館の天文館5階「宇宙のすがた」という展示室には、天井から「輝く星」に見立てた電球が吊り下がっているのに気が付きましたか。これは、「星座を形づくる星々」という展示品の一部で、「北斗七星」、「カシオペア座」、「オリオン座」、「夏の大三角」を形作っている恒星です。でも、下から見上げただけでは、星座の並びには見えません。

天文館5階「宇宙のすがた」という展示室の4箇所に、それぞれの星座を観察するための、丸い覗き口(スコープ)が立ててあります。このスコープから眺めると、「輝く星」に見立てた電球が、太陽系から見るのと同じ位置関係で並び、星座の形になって見えてきます。

さて、「北斗七星」ですが、スコープから覗くと、「輝く星」に見立てた電球の数が7つであるように見えますが、横から見るとなんと電球の数は8つあります。太陽系から見るのと同じ位置関係では、「輝く星」に見立てた2つの電球が重なり1つの星のように見えるんですね。

「星座を形づくる星々」という展示では、星座を形作っている星々が、見る位置や方向によって、並びが変わってしまうことや、同じように見えている星でも実際の距離がずいぶん違うことが紹介されています。

星までの距離と明るさ
同じ明るさの星でも、遠くにあれば暗く見え、近くにあれば明るく見えます。そこで星自体の本当の明るさを比較したいときは、同じ距離に並べたときの明るさに換算して比較します。夜空に見えているときの明るさを実視等級というのに対して、この比較用の明るさは絶対的な明るさであることから、絶対等級といい、比較するための距離は、地球から32.6光年にします。32.6光年は、一見中途半端な距離に思えますが、実は天文学者にとっては便利な数値です。
まず星までの距離はとても遠いので、直接距離を測ることができません。そこで、地球が太陽の周囲を回ることにより半年間で動く距離である3億kmを基線として、星の位置のみかけの変化(角度:図中のθ)を測定します。この角度は距離が3.26光年の星で、1”(秒角:1度の3600分の1)になります。この角度が測定値になりますので、できるだけきりのいいところを基準の距離にしたいところです。ただし最も近いケンタウルス座のα(アルファ)星でも距離は4.3光年ですから、1”になる3.26光年では基準として近すぎです。そこでその10倍の32.6光年にしたのです。
ちなみに私たちの太陽の絶対等級は5等級。夜空の中ではずいぶん控えめな星になります。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)