名古屋市科学館が年間入館者数140万人をキープできている理由

名古屋市科学館

ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示を有する名古屋市科学館は大変魅力的ですね。その他の展示物も200点以上もあります。

名古屋市科学館は、天文館と理工館が2011年にリニューアルされて、年間入館者数が70万人から140万人へと倍増しました。科学館の中で、年間入館者数140万人というのは、東京の国立科学博物館の220万人に次いで、日本で第2位です。

名古屋市科学館がリニューアルされてから6年がたちます。年間入館者数の推移を見てみると、通常ですと年々減少傾向に進むことが多いのですが、名古屋市科学館は年間入館者数140万人をキープしています。これは素晴らしいことなのですが、なぜ名古屋市科学館にリピーターが多いのか、その理由を探ってみました。

名古屋市科学館の年間入館者数の分析

名古屋市科学館要覧(H28)に、名古屋市科学館の年間入館者数が年度ごとにまとめられています。常設展示室(入館者ープラネタリウム)とプラネタリウムの入館者数も分かれて表になっていますので大まかにまとめてみました。

平成22年度は、リニューアルのため、名古屋市科学館は6か月間、休館しています。名古屋市科学館の新館は、平成23年3月19日にオープンしています。

旧名古屋市科学館

年間入館数は61万人程度で、常設展示室とプラネタリウムの入館者数の割合は「1.4:1」程度です。

年間入館者数の比率から、プラネタリウムの入館者数の依存度が大きいです。

リニューアルした名古屋市科学館

年間入館者数は140万人程度で、常設展示室とプラネタリウムの入館者数の割合は「1.6:1」程度です。

年間入館者数の比率から、旧名古屋市科学館よりもプラネタリウムの入館者数の依存度が小さくなっています。常設展示室のリピーターが増えていると考えられます。これは、放電ラボや、極寒ラボの人気を反映しているのかもしれません。

名古屋市科学館のリピーターになる理由

名古屋市科学館のリピーターになる理由として、次のようなものが考えられます。

  • 新しい展示品が増える・更新される
  • 興味深い展覧会が開催される
  • 科学館で何らかの気づきがあり楽しい
  • 科学館に興味を持つ動機づけがされる

新しい展示品が増える・更新される

生命館4階では「人体のふしぎ」というテーマで展示更新が進んでいます。

興味深い展覧会が開催される

旧名古屋市科学館では、特別展が夏に1回、企画展が春に1回開催されていました。リニューアルされた新館では特別展の開催は年数回と倍増しています。

科学館で何らかの気づきがあり楽しい

名古屋市科学館の新館の開館と同時に展示室ボランティアを導入しました。展示室では、展示室ボランティアが展示品の使い方や気づきの支援をして、科学の不思議や楽しさを伝えています。

展示室以外でも、実験や実演をする嘱託職員(運営委員)、天文ボランティア、ものづくりボランティア、複数の特別展と企画展で奮闘している学芸員らの活躍も大きいです。

科学館に興味を持つ動機づけがされる

名古屋市科学館では「連携する科学館」が大きな柱となっています。旧館のころからも、名古屋大学博物館、JAXAなどと連携して科学に興味を持ってもらう活動をしています。新館開館後は、さらに多くの機関と相互協定を結んで活動の領域を広げています。

  • H24.3.19 名古屋大学理学部と相互協定に関する協定を締結
  • H24.5. 1 名古屋大学情報文化学部と相互協定に関する協定を締結
  • H24.7.28 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と相互協定に関する協定を締結
  • H25.3.26 名古屋大学博物館と相互協定に関する協定を締結
  • H25.9.29 中京大学人工知能高等研究所と相互協定に関する協定を締結
  • H28.3.29 名古屋市立大学との連携協力に関する覚書を結ぶ

その他、小さいころから科学に興味を持ってもらいたいとのことから、「科学館友の会」の天文クラブやサイエンスクラブで、小学生・中学生から一般の方まで、科学に興味を持ってもらう取り組みをしています。

また、名古屋市少年少女発明クラブの活動を通して、科学好きな少年少女を育成しています。このように、地道な活動で名古屋市科学館ファンを育てています。