名古屋市科学館の「放電ラボ」を躊躇した方は、理工館4階「科学原理とのふれあい」の電磁波のコーナーで「ミニ放電」を体験できます

名古屋市科学館の「放電ラボ」を躊躇した方は、理工館4階「科学原理とのふれあい」の「実験のアトリエ」コーナーの「電磁波」の展示で「ミニ放電」を体験できます。

名古屋市科学館の理工館4階の大型展示「放電ラボ」では、高圧電気により大音響と閃光が体験できます。「放電ラボ」は、小さなお子様には少し過酷です。「放電ラボ」入り口付近の壁面にある、「電磁波」の展示品の中に、「ミニ放電」を体験できる展示品がありますので紹介します。

「実験のアトリエ」コーナーの「電磁波」の展示品の中に、「放電ラボ」と同様に「小さな電気の放電」から電波が発せられることが確認できる「ヘルツの実験装置」が展示されています。

この装置では、「小さな電気の放電」から電波が発せられ、電波が空間を伝わることを、ネオン管の点灯やトランジスタラジオの雑音として確認できます。

理工館4階「科学原理とのふれあい」の「実験のアトリエ」コーナーにある「電磁波」の展示

光や電波、赤外線、X線などは全て同じ仲間で、「電磁波」と呼ばれます。「電磁波」は波の性質を持っていて、波長の違いで電波であるとか紫外線であるとかに分けられます。

「電磁波」の展示では、波長の長さの違いで区分されている、電波・赤外線・可視光線(光)・紫外線・X線・ガンマ線が紹介されています。

 電波

電波」はテレビ、ラジオ、携帯電話など身近な所で用いられています。電波の存在は1864年にイギリスの物理学者マクスウェルが導きだした方程式で予言されました。その方程式は、光の本質は電磁波であることを示していて、その後の物理学を大きく発展させる基礎になりました。予言された「電磁波」は、1888年にドイツの物理学者ヘルツが実験で存在を証明しました。

ヘルツの実験(ミニ放電)
「ヘルツの実験」がどのようなものであったかは、展示品で見ることができます。「ミニ放電」で電波が空間を伝わることを体感してください。

波長が0.1mmより長いものを一般に電波と呼びますが、赤外線との境界は明確なものではありません。

赤外線

テレビのリモコンは、「赤外線」によってテレビと通信しています。携帯電話のカメラやデジタルカメラは目では見えない赤外線を感知するので、 リモコンの先端をそれらで見ると光っているのが分かります。

太陽の光をプリズムに通すと虹の七色に分かれます。赤から黄色、緑、青色と分かれるのですが、赤色の外側に温度計を置くと、温度が上昇するのが分かります。

そこは光が来ていないように見えるのですが、温度が上がることから何らかの光が来ていると考えることができます。「赤外線」は、1800年にドイツの天文学者ハーシェルによって発見されました。

「赤外線」をとらえる「デジタルカメラ」
「赤外線」は目に見えませんが、多数の赤外線リモコンが発している赤外線を「デジタルカメラ」ではとらえることができる様子が展示されています。通常の高さと、お子さまでも覗けるような低い位置の2か所に「デジタルカメラ」が設置されているので、画像を確認してください。
赤外線リモコンの発する赤外線の画像は何やら「ハートの形」をしていませんか。展示品制作者の遊び心を感じますね。

波長がおよそ800nmから1mmくらいまでを赤外線と呼びます。

可視光線(光)

一般的に光と呼ばれるものが「可視光線」です。文字通り人間の目に見える光のことで、プリズムで光を分けた時の赤から青までの光のことをいいます。

波長がおよそ400nmから800nmくらいまでを「可視光線」と呼びます。

紫外線

「紫外線」は、日焼けを引き起こすものとして、身近なイメージがあります。光のスペクトルの赤の外に赤外線があるならば、紫の外にも何かがあるはずだと考えられました。「紫外線」は赤外線発見の翌年の1801年に発見されました。

波長がおよそ1nmから400nmくらいまでを「紫外線」と呼びます。紫外線とX線の境界は明確でなく重なっています。

X(エックス)線

レントゲン写真の撮影に用いられるのが「X(エックス)線」です。X線は身体などの物質を透過する能力が高いので、そのような撮影に用いられます。X線は、蛍光板を光らせる未知の放射線として1895年にドイツの物理学者レントゲンによって発見されました。

発見したときに、どのような放射線か分からなかったので、X線と名付けられたものが現在まで使われています。1912年に同じドイツの物理学者ラウエによって、X線の回折現象が発見され、X線が電磁波であることを証明されました。レントゲンはX線の発見により、1901年に第1回ノーベル物理学賞を受賞しています。

波長がおよ0.001nmから10nmくらいまでをX線と呼びます。

γ(ガンマ)線

γ(ガンマ)線は、他の電磁波に比べて身近なものではありません。原子核や素粒子などに関連する反応で発生します。1901年にフランスの化学者ポール・ヴィラールによって発見されました。電気を帯びていない透過力の高い放射線として発見され、1903年にラザフォードによってガンマ線と命名されました。

波長が0.01nmより短いものをガンマ線と呼びます。X線とガンマ線の違いは波長でなく発生機構によって分けられます。