名古屋市科学館は、ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示が目を引きますが、その他の展示物も200点以上もあります。
名古屋市科学館の理工館2階は、「不思議のひろば」という展示テーマで展示品が配置されています。この展示室では、「みる・きく・さわる・うごかす」といった体験を通して、科学の不思議さや楽しさを味わうことができます。幼児から大人まで楽しめるフロアですが、古くから名古屋市科学館で人気のあった「懐かしの展示品」も触ることができます。
このフロアーの「なつかしのてんじ」ゾーンには、「あなたもさっきょくか」「NKSじしゃく」「たこのダンス」「イライラぼう」「GoGo!しょうぼうしゃ」という、古くから名古屋市科学館で人気のあった展示品が展示されているのですが、さて名古屋市科学館で最古の展示品はどれでしょうか。
実は、名古屋市科学館で最古の展示品は、1964年(昭和39年)にお目見えした、「たこのダンス」という展示品です。50年以上もの間、しっかりメンテナンスされたおかげで、今でも立派に現役で、「浮力と圧力の絶妙なバランス」を体験することができます。
理工館2階「不思議のひろば」の「なつかしのてんじ」ゾーンにある「たこのダンス」という展示品
「たこのダンス」という展示品についている、ゴムのつまみを強くにぎりしめたり、離したりすると、水の中の「たこ」はどうなるでしょう。「たこ」が、水中をゆらゆら泳いでいませんか。「たこのダンス」は、浮力(アルキメデスの原理)やパスカルの原理を応用した展示品です。
「たこのダンス」は、「なつかしのてんじ」の一つで、旧理工館が開館した1964年からずっと展示されている、名古屋市科学館で最も古い展示品です。
「たこのダンス」という展示品は、たこの頭に入っている「空気」の体積を変化させることにより、たこの「浮力」が変化して、浮いたり、沈んだりします。空気の体積を変化させて、浮いたり沈んだりするようにしたものを、浮沈子(ふちんし)といいます。
展示品のゴムのつまみをにぎると、その圧力は水のあらゆる方向に伝わります(パスカルの原理)。水を押し縮めることはできませんが、空気を縮めることはできます。それで、たこの中の空気が縮められ、浮力が小さくなってたこは沈みます。手を離すと圧力が低くなり、たこの中の空気ももとにもどり、浮かび上がります。このように空気の体積を変化させて、浮いたり沈んだりするようにしたものを、浮沈子(ふちんし)といいます。
さて、水の中の物を持ち上げるのは、水の外で持ち上げるより楽であることは、みなさん、よく知っているでしょう。これは、物を水中に入れると、物がおしのけた水の体積の重さ分だけ、その物を上におし上げようとする力が働くためです(アルキメデスの原理)。この力を浮力といいます。浮力は、水の中だけではなく、すべての液体や気体の中でも働きます。 同じ重さの粘土でも、丸いかたまりでは水に沈んでしまいますが、舟の形にすると水に浮かべることができます。おしのける水の体積がふえ、浮力が大きくなるからです。浮沈子の場合も、浮沈子全体(たこ+中の空気)の重さは変化しませんが、空気の体積が変化するので、おしのける水の体積が変化します。そのため浮力が大きくなったり小さくなったりして、浮き沈みします。
【浮き沈みするたこを作ってみましょう】
(1)折り詰め用しょうゆ入れに、クリップなどをおもりとしてビニルテープでとめます。色をぬったり飾りをつけて、たこの人形を作ります。水面すれすれに、たこが浮かぶように、中に水を入れます。(しょうゆ入れのふたは、使いません。)
(2)ペットボトルなどの空容器に(1)のたこを入れ、水をいっぱいに満たします。空気が入らないように、ぴったりとふたをします。
(3)容器を手で強く押したり、離したりします。うまく浮き沈みしないときは、たこの中の水の量を調節してみましよう。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)