名古屋市科学館は、ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示が目を引きますが、その他の展示物も200点以上もあります。
名古屋市科学館の天文館5階「宇宙のすがた」の展示室は、広大な宇宙のスケールを実感できるフロアです。旧天文館で使用されていた、ツァイスIV型というプラネタリウムの実機も間近にみることができます。
この展示室では天体観測用の望遠鏡を紹介しているのですが、大型望遠鏡の口径はどのくらいの大きさなのかわかりにくいですよね。天文館5階「宇宙のすがた」の展示室の天井には、天体望遠鏡の口径が体感できる展示があるのですが、気がつきましたか。
天文館5階「宇宙のすがた」の展示室で大型の天体望遠鏡を紹介している、「天文学のあゆみ」ゾーンの「望遠鏡の大きさくらべ」の展示がある天井をご覧ください。白い表示で、名古屋市科学館の80cm望遠鏡、日本がハワイのマウナ・ケア山頂に設置した口径8.2mすばる望遠鏡、現在計画中のTMTと呼ばれる直径30mの望遠鏡の大きさが天井に描かれていて、「天体望遠鏡の口径」が体感できます。
天文館5階「宇宙のすがた」の「天文学のあゆみ」ゾーンにある「望遠鏡の大きさくらべ」の展示
望遠鏡というと倍率が気になりますが、倍率が高いほど物をよく見られるわけではありません。
望遠鏡の性能は、どのくらいたくさんの光を集められるかという「集光力」と、どのくらい細かなものが見分けられるかという「分解能」によって 決まります。これらの性能は望遠鏡の口径が大きいほど優れていますので、望遠鏡はどんどん大型化する方向に進化していきます。
ハワイのすばる望遠鏡は口径が8.2mもありますし、現在計画中のTMTと呼ばれている望遠鏡は、天文館5階の展示室と同じ直径で30mもあります。
2010年11月現在、国内で最も口径の大きな望遠鏡は、兵庫県にある西はりま天文台公園の口径200cmの反射望遠鏡です。この望遠鏡は一般の方が直接のぞくことができる公開望遠鏡として、世界最大です。近赤外線カメラや可視光分光器などを用 いて本格的な研究観測も行われています。
国内で2番目は岡山県にある岡山天体物理観測所の口径188cmの反射望遠鏡です。この望遠鏡は研究専用です。2009年4月23日には宇宙で最も激しい爆発現象であるガンマー線バーストの残光をとらえることに成功しました。この爆発はのちに「RGB090423」 と名付けられました。。爆発を起こした天体までの地球からの距離は約131億光年と、宇宙誕生からわずか6億年ほどしかたって いないことが分かりました。この望遠鏡は1960年の開所から50年の月日を経て今なお成果を出し続けています。
国内で3番目は群馬県にある県立ぐんま天文台の口径150cmの望遠鏡です。この望遠鏡は一般の方が直接のぞくことができる接眼部 が備え付けられています。研究用として、近赤外線カメラや分光器の設備もあります。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)