名古屋市科学館は、ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示が目を引きますが、その他の展示物も200点以上もあります。
名古屋市科学館の理工館3階は、「技術のひろがり」という展示テーマで展示品が配置されていて、身のまわりにある機械のしくみや、ものづくりの知恵を科学の視点で紹介しているフロアです。
このフロアの「身近な機械」ゾーンには、「時計」という展示品があり、「巨大なゼンマイ時計」がおかれています。「ゼンマイ時計」にはゼンマイを巻くための巨大な「りゅうず」がついていますが、この「りゅうず」を回すとゼンマイが巻かれ、「巨大なゼンマイ時計」が動き始めます。この「巨大なゼンマイ時計」は精巧に作られていて、ゼンマイ時計が一定の間隔で時を刻む機構をまじかに見ることができます。
理工館3階の「身近な機械」ゾーンの「時計」という展示コーナーにある「巨大ゼンマイ時計」
理工館3階の「身近な機械」ゾーンにある「時計」という展示コーナーにある「巨大ゼンマイ時計」は、ゼンマイ時計を忠実に再現したもので、機械式時計の仕組みをまじかで見ることができます。「巨大ゼンマイ時計」の下部にある「巨大りゅうず」を右に回すと、「巨大ゼンマイ時計」のゼンマイが巻かれ、「巨大ゼンマイ時計」が動き始めます。
「巨大ゼンマイ時計」の盤面の右上を見ると秒針がありますが、秒針の下部には、「テンプ」、「アンクル」、「ガンギ車」と呼ばれる、ゼンマイの戻る力を利用して、一定の間隔で時を刻む機構を見ることができます。
「巨大ゼンマイ時計」は、巻かれたゼンマイが元の大きさに復元する力を動力源としています。このときの復元力は、最初は大きく、元の大きさに近づくにつれて小さくなっていきますので、このゼンマイに針を直結しても、針は一定のはやさで動きません。時計の針を一定のはやさで動かすための機構が、「テンプ」、「アンクル」、「ガンギ車」なのですね。
現在の時計は、水晶発振を利用した「クォーツ式」の電子時計が主流ですが、「機械式」のゼンマイ時計をみていると、ゆっくりと時が流れていくのを感じることができます。
動力はゼンマイです。巻かれたゼンマイが元の大きさに復元する力を動力源としています。このときの復元力は、最初は大きく、元の大きさに近づくにつれて小さくなっていきます。もし、このゼンマイに針を直結すると、針は一定のはやさで動きません。そこで、エネルギーを一定のはやさで開放するしくみが必要になってきます。その役割を果たすのが、テンプ、アンクル、ガンギ車からなる機構です。
テンプは一定の周期で左右に規則正しく運動します。このテンプの動きに合わせてアンクルが一定の周期でガンギ車を不連続に、しかし一定のタイミングで回転させたり、停止させたりします。このガンギ車の動きがたくさんの歯車に伝わり、秒針、分針、時針を動かします。機械式時計のメカニズムの急所は、アンクルとガンギ車にあるといってもよいでしょう。
<クォーツ式時計>
巧妙に作られた機械式時計ですが、欠点がいくつかありました。ゼンマイを動力とする限り、何度も巻いてエネルギーを溜めなければなりません。週に一度、あるいは月に一度はゼンマイを巻くことが強いられました。さらに、時間の狂いも少なくありません。毎日使う身近なものであるために、エネルギー補給と時間調整はわずらわしいものとなっていました。
こうした欠点を補うために考案されたのがクォーツ式時計です。これは、水晶に電流を与えると、極めて正確な数値で振動する、つまり伸び縮みする性質を利用しています。これをピエゾ効果と呼んでいます。
正確な針の運動、すなわち時計のくるいの少なさはこれで担保されました。もうひとつのエネルギー補給については、電池を利用することで解決されました。水晶に流す電流はごく少量なために、電池の消費は非常に小さいのです。こうして、クォーツ式時計は機械式時計がもっていたエネルギー補給の頻度の低減と正確さの二つの問題を解決しました。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)