名古屋市科学館で「デジタルタイムカプセル」と「リアルタイムカプセル」をみつけた

タイムカプセル

名古屋市科学館の天文館5階「宇宙のすがた」の「プラネタリウムの歴史」ゾーンに「デジタルタイムカプセル」という展示品があります。この展示品は2011年に新館が開館する前の科学館の情報や歴史、科学館にかかわる人々のインタビューのコメントなどが聞ける貴重なものです。さて、名古屋市科学館の生命館西側の緑地の中に、「緑色の釜のような物体」を見かけた方はいませんか。私も何だろうと思い調べてみると、なんと「リアルタイムカプセル」だったのです。

名古屋市科学館・天文館5階の「デジタルタイムカプセル」

名古屋市科学館・天文館5階の「デジタルタイムカプセル」は、建て替えで姿を消した旧天文館と理工館の姿や内容をとどめるとともに、そこに見学者のみなさんの思い出をリンクさせていこうというプロジェクトの成果物です。通常のタイムカプセルは地中などに埋めて、一定期間見えなくなりますが、このデジタルタイムカプセルは、過去を保持しながら、ずっと中身は見え続けていて、更新、進化していくという、デジタル時代の新しいタイムカプセルです。 時間と空間をとどめておく展示物として、長い時間や広い空間を扱う天文展示室の一角に設置されています。

名古屋市科学館・生命館西側緑地の「リアルタイムカプセル」

名古屋市科学館・生命館西側緑地の「リアルタイムカプセル」は、何の説明もなく置かれているので不思議に思った方も見えると思います。この「タイムカプセル」は、名古屋青年会議所が1985年に埋め、2000年に開いたものです。21世紀は2001年からなので、2000年というのは微妙なんですが、たぶん20世紀に埋めたものを21世紀に掘り出すという趣旨ではなかったのかなと思います。

「タイムカプセル」というのは、「現在ある物を箱などに入れて、未来に開く。」というものです。「タイムカプセル」の一般的な考え方は、メソポタミア文明までさかのぼります。現代の「タイムカプセル」の始まりは1939年のニューヨーク万博で作られたものです。日用品や書物を収めて埋められ、文明が崩壊しているかもしれない5000年後の、6939年に開封予定です。

日本では記念すべきことがあるたびに、タイムカプセルを埋める慣習が既に根付いています。特にその慣習があるのは、学校などの教育機関です。学校でタイムカプセルを埋める慣習ができたのは、大阪万博で「タイムカプセル」を大阪城前広場の地下に埋設されたことをうけ、日本中の学校や自治体が模倣し始めたことからです。

日本人に「タイムカプセルは、地中に埋めるものだ。」というイメージが広まったのも、大阪万博の「タイム・カプセルEXPO”70」で「タイムカプセル」が地中に埋められたのがきっかけだったという訳です。