名古屋市科学館の化学担当学芸員が、理工館5階「物質・エネルギーの世界」の展示品について熱く語る

理工館

名古屋市科学館の化学担当の学芸員さんが退職され、新任の学芸員さんが着任しました。退職された学芸員さんは女性でしたが、新任の学芸員さんは男性です。

新任の学芸員さんが、担当フロアである理工館5階の展示品について、熱く語られましたので、その内容について紹介します。

名古屋市科学館の理工館5階「物質・エネルギーの世界」の展示品

名古屋市科学館の理工館5階は、「物質・エネルギーの世界」というテーマの展示品があります。担当学芸員さんのおすすめの展示は、「身の回りの材料大図鑑」、「重さくらべ」、「半導体」、「炎色反応」、「元素周期表」の5つです。

「材料大集合」ゾーンの展示品の「身の回りの材料大図鑑」

理工館5階の要(かなめ)展示は、「身の回りの材料大図鑑」です。「身の回りの材料大図鑑」では、身の回りの製品の断面を展示しています。中心部に製品の断面展示が配置され、その周辺にその製品に使用されている材料を配置することにより、製品の内部や製造技術、使用材料がよく判るようになっています。

「材料大集合」ゾーンの展示品の「重さくらべ」

「重さくらべ」は、身の回りの化学として、10cm角の物質の重さの違いを体感する展示です。この展示品は、大人から子どもまで人気で、同じ大きさでも、物質の密度の違いでずいぶん重さが違うことが体験できます。

展示品で一番重い元素はタングステン(Ti)で密度が19.25g/㎤ですが、最も重い元素はオスミウム(Os)で密度が22.598g/㎤、最も軽い元素はリチウム(Li)で密度は0.535g/㎤です。

「材料大集合」ゾーンの展示品の「半導体」

「半導体」は、パソコンやスマートフォンなどに使用されている部品の材料となる、シリコンの製造工程を紹介しています。シリコンを溶かしたものから、インゴットと呼ばれる高純度の円柱状の塊を作ります。この塊から、ダイヤモンドのワイヤーカッターで薄くシリコンウェハーを切りだり、このシリコンウェハーを細かく裁断した、シリコンチップ上に電子回路を作ります。

学芸員さんおすすめの2冊は、「化学の不思議がわかる本」「商品から学ぶ化学の基礎」で、理工館1階の「情報資料室」にも置いてあるそうです。

「原子・分子の世界」ゾーンの「炎色反応」

身近な「炎色反応」は、夏の風物詩の花火です。新潟県長岡のフェニックス花火は有名で、色とりどりの花火が見られます。花火の赤の発色には硝酸ストロンチウム、花火の緑の発色には炭酸バリウムが使用されています。

「原子・分子の世界」ゾーンの「元素周期表」

化学の世界で「元素周期表」は、鉄板です。元素周期表は世界地図のようなもので、世界地図の中の一つの国が、一つの元素に相当すると考えると、118の元素にも愛着がわきます。金(Au)は0.1ミクロンの薄さまで伸ばすことができたり、イリジウム(Ir)は隕石に含まれている元素であったり、炭素(C)14は年代測定に利用されたりと、元素を調べていくといろいろなことがわかります。

化学担当学芸員さんの専門
化学全般に精通していますが、特に学生時代から携わってきた半導体には造詣が深く、熱く語ってくれます。ペンギンが大好きな、若手のホープです。