名古屋市で戦前・戦中・戦後の38年間を走り続けた路面電車1400形、初号車となる「1401号車」を名古屋市科学館で見つけた

市電1400形

名古屋市科学館で、名古屋市内を戦前・戦中・戦後の38年間を走り続けた、路面電車の1400形の初号車となる「1401号車」が見られます。展示場所は、名古屋市科学館の天文館南の屋外展示ゾーンです。

名古屋市電1400形車両は、それまでの車両から軽量化がほどこされるとともに流線型のデザインを取り入れるなどして、大きくモデルチェンジし画期的な車両となり、昭和戦前期の日本の路面電車を代表する形式のひとつとなりました。

1400形車両とは

名古屋の市電は、1898(明治31)年5月に笹島町から県庁前(現在の中区役所付近)の区間で営業運転されました。名古屋電気鉄道によるこの事業は、京都に次ぐ全国2番目の快挙でした。1922(大正11)年に市営となり、地下鉄東山線・名城線の整備後、1974(昭和49)年に全線廃止されました。

名古屋市科学館に展示されている1400形車両の1401号車は、1936(昭和11)年に日本車輛が製造した初号車です。 1400形車両は、1936(昭和11)年12月から1937(昭和12)年2月にかけて20両が製造されました。汎太平洋平和博覧会の観客を輸送するのが目的でした。その後も5回にわたって増備され、1942(昭和17)年4月までに総計75両が製造されました。

戦後も同じ形の流れをくむ1500~3000形車両が何両か製造されましたが多くは廃棄され、最後まで使われ続けたのが1400形車両でした。

1400型車両の台車構造

1400形車両はボギー台車を装備していることにも特徴があります。ボギー台車というのは、車体に対して水平方向に回転可能な装置を持つ台車のことです。ボギー台車をもつ車両のことをボギー車とも呼んでいます。

車体の短い小型車では、2本の車軸と車体を直接サスペンションでつないでいました。次第に輸送能力を上げるために車両が大型化し車体が長くなると、固定車軸では曲線の軌道上を走行することが困難になってきました。 そのため、車体とは独立してある程度回転できる機構をもった台車が考案されるようになりました。これがボギー台車です。

1400形車両の保存車

1400形車両は、廃車後に民間施設や公共施設に譲渡された車両が多数ありました。現在では、1401号車が名古屋市科学館で屋外展示されているほか、1421号車が日進市の赤池駅近くにある「名古屋市市電・地下鉄保存館(レトロでんしゃ館)」で保存展示されています。