名古屋市科学館で、民主党政権時代の「事業仕分け」で話題になったスーパーコンピューター「京(けい)」のシステムボードを展示!

民主党政権時代の「事業仕分け」で話題になった、スーパーコンピューター「京(けい)」ですが、2019年8月にシャットダウンされ、後継の「富岳(ふがく)」にその道を譲りました。スーパーコンピューター「京(けい)」は解体処分となりましたが、CPUやメモリなどが搭載されたシステムボードなどの部品が、全国10か所の博物館・科学館で展示されることになりました。

そのうちの1か所が名古屋市科学館で、スーパーコンピューター「京(けい)」のシステムボードなどの部品が展示されています。名古屋市科学館の理工館4階「科学原理とのふれあい」のフロアーの「情報科学」ゾーンで、往年の名コンピューターの片鱗を垣間見ることができます。

(「京(けい)」のマザーボード)

スーパーコンピューター「京(けい)」

「京(けい)」は、文部科学省の次世代スーパーコンピューター計画の一環として、理化学研究所と富士通が共同開発し、兵庫県神戸市の理化学研究所計算科学研究機構に設置・運用されていたスーパーコンピューターの名称(愛称)です。「京(けい)」という名称(愛称)は、浮動小数点演算を1秒あたり1京回行うことができるという処理能力(10ペタフロップス)に由来するものです。

(「京(けい)の展示解説」)

「京(けい)」は、民主党政権時代の2009年11月の「事業仕分け」で事実上の凍結と判定されたことを機会に、各種の議論が行われ、後に予算復活されて2012年6月に完成しました。コンピューターの性能を競うTOP500で、2011年6月および2011年11月に1位になりましたが、完成直前の翌2012年6月には2位になってしまいました。しかしながら、別のコンピューターの性能を競うGraph500では、「京(けい)」がシャットダウンされる2019年8月まで、10期連続で1位を獲得しています。

「京(けい)」の総開発費は1,120億円、運用費は年額80億円で、2012年6月に完成、同年9月に共用稼働を開始しています。そして2019年8月16日に計算資源の共用を終了し、8月30日にシャットダウンされました。「京(けい)」の後継は、100倍くらい性能が向上した、新しい「次世代のスーパーコンピュータ」富岳(ふがく)で、2021年頃に運用が始まる予定です。

2019年11月5日、計算機や「京(けい)」と書かれた化粧パネル、CPU・メモリーなどが搭載されたシステムボードなど、「京(けい)」の部品が、東京理科大学、信州大学、名古屋市科学館、愛媛県総合科学博物館など全国の大学や科学館、計13施設に寄贈されることになり、その贈呈式が理化学研究所計算科学研究センターで行われました。