名古屋市科学館で「虹」がつくれるって知ってた?名古屋市科学館にある2つの展示品で「虹」をつくってみよう!

名古屋市科学館は、ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示が目を引きますが、その他の展示物も200点以上もあります。

名古屋市科学館には「虹」をつくって観察できる展示品が2つあるのですが、どの展示品かわかりますか。一つは理工館3階にある「みずのプリズム」ですが、もう一つはどこにあるのでしょうか。実は生命館2階にある「暗室の部屋」で、ペンライトを使用して虹を作ることができるんです。

理工館3階の「雲のステージ」ゾーンにある「みずのプリズム」という展示品

名古屋市科学館の理工館3階には、理工館2階に設置された「みずのひろば」という大型展示品の「くものステージ」があります。「くものステージ」には「くもとあめ」という展示品があります。
「くもとあめ」という展示品の一つで、「みずのプリズム」という展示品では、透明な三角柱に水が入っていくと「頭上の白いパネル」に「虹」がだんだんと表れます。
この展示品では、水が入った三角柱がプロズムの役目を果たし、このプリズムを通った光は7色に分離されて頭上のパネルに「虹」として表示されるのです。

 <みずのプリズム>
白色光を赤、橙、黄、黄緑、緑、青、紫の7色に分解する三角柱のガラスをプリズムと呼んでいます。白色光は波長の異なるさまざまな光が集まったものでることがわかります。17世紀、イギリスのアイザック・ニュートンもプリズムをつかった実験を重ね、「光学」という本を出しました。
プリズムはガラスで作ったもの、ではかならずしもありません。水でもプリズムになるのです。アクリル樹脂という透明性の高いプラスチックで作った三角柱のいれものに水を入れるとプリズムになる、というのがこの実験です。
なぜ、光を分解することができるのでしょうか。そこには屈折という現象がふかく関わっています。空気中と水の中では、光の進むはやさが違います。この違いから、光が水に入ったとき、水から出ることに、光が折れ曲がって進むようになります。これが屈折です。
水の入った茶碗にはしを入れると折れ曲がったように見えるのも、この屈折によるものです。
ここで、どのくらい屈折するか、すなわち屈折率が重要です。屈折率は光の波長によって違います。波長の長い赤色の光は屈折率が小さく、波長の短い紫色の光は屈折率が大きいのです。したがって、赤色から紫色まで含んだ白色光は、プリズムで屈折して、7つの色に分解されるのです。
虹ができるのは水の屈折によるものです。空気中の小さな水滴に太陽の光が入り、そこで屈折と反射を起こし、そこで分解された7つの色を、私たちは虹として見ているのです。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)

生命館2階の「地球のデザイン」ゾーンにある「虹をつくろう」という展示品

名古屋市科学館の生命館2階には「地球のデザイン」というゾーンがあり、「虹をつくろう」という展示品では「暗室の部屋の中でペンライトを壁に近づける」ときれいな「虹」が浮かび上がります。
理工館3階にある「みずのプリズム」でつくる「虹」は展示品を見ていると頭上にきれいな「虹」が現れましたが、「暗室の部屋でつくる虹」はペンライトをいろいろな方向に向けて「虹」のできる条件を調べる楽しさがあります。
「暗室の部屋でつくる虹」は、太陽の光と「水滴」がつくる自然界の虹と異なり、ランプの光と「壁に貼り付けられた小さなプラスチックビーズ」がつくる虹です。

 【自然の虹は水滴がプリズムの役割】
大気中に漂う水滴はほぼ球の形をしています。水滴の中に入った太陽光は屈折と反射を起こし、入射光線と約42度の角度で戻ってきます。そこで、太陽と正反対の方向を中心に42度の角をなす円周上に反射光が見えることになります。
ところが、光の色によって屈折率が違うため、水滴も、プリズムと同じように、光を七色に分解してしまいます。結局、赤が外側、紫が内側になるよう光線が分かれて七色の帯を作りだします。
【人工虹はビーズがプリズムの役割】
この現象を、模擬的にお見せするのがこの展示です。太陽の代わりにランプが入口上の天井に設置され、水滴の代わりに、直径0.3ミリの小さなプラスチックビーズが前方スクリーンに貼り付けてあります。
それでは、どこに立つと虹が見えるか調べてみましょう。どの位置からでも虹が見えるわけではありません。立つ位置を変えて、試してみてください。
次に、スクリーン下にある小型ランプを点灯して、スクリーンに虹を作ってみましょう。自然では絶対見ることができない虹を見ることができます。だって、光源の後ろから見るというのは、太陽ではできませんよね。
片目だけでも見てみましょう。左目と右目とで見える虹の位置がずれていることに気がつきます。このため、両目で見ると、虹は立体的に浮かんだように見えます。
【自然の虹と人工の虹の違い】
この部屋でつくる虹は、ランプの光とプラスチックビーズがつくる虹です。太陽の光と水滴がつくる自然界での虹と比べて、次の点が異なります。
入射光線と水滴(ビース)で反射してくる光との角度が小さいため、小さな虹となります。(水滴なら42度、ビーズなら14から17度になるところに、虹が見えます。おかげで小さな部屋の中でも見えるわけです。)水滴は厚みを持って分布していますが、展示品ではビーズは一列に並んでいるだけです。
太陽光は平行光線ですが、ランプは放射状なので、スクリーンに近づいても虹は消えません。すなわち虹に近づくことができます。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)