空気を抜くと「風船」が膨らむ?名古屋市科学館で「大気圧」を体感してみよう!

名古屋市科学館は、ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示が目を引きますが、その他の展示物も200点以上もあります。

名古屋市科学館の理工館3階は、「生活のわざ」という展示テーマで展示品が配置されていて、わたしたちが生きていくために必要な「衣・食・住」について、体験しながら理解できるようになっているフロアです。

このフロアの「家と都市」ゾーンには、「ためしてわかる家の機能」というコーナーがあります。このコーナーにある「気密」という展示品では、レバーを上下して、密閉された容器の中にある風船の周りの空気を抜くと、なんと風船が膨らみ始めるのです。空気を抜くと風船が膨らむなんて不思議ですね。

生命館3階の「家と都市」ゾーンにある「ためしてわかる家の機能」というコーナーの「気密」という展示品

理工館3階の「家と都市」ゾーンにある「ためしてわかる家の機能」というコーナーの「気密」という展示品は、密閉された容器の中に風船が入っています。レバーを上下して風船に空気を入れているように見えますが、実は容器に入った風船の周りの空気を抜いているのです。風船の口は容器の外で大気に接しているので、風船の周りの空気を抜くと大気圧によって風船が膨らんでくるんです。普段生活していても大気圧を感じることはあまりありませんが、風船が膨らむのを見ると確かに大気圧があるんだと実感できます。

 「家」は、その中で人が快適にくらすために、さまざまな工夫がされています。ふだん生活しているときにはなかなか気がつきませんが、なくてはならない機能がかくれているのです。この展示品では、かんたんな実験によって、そのような機能を体験できるようになっています。家に必要な最も基本的な機能は次のようなものです。
1.雨を防ぐ
人が雨に濡れると体温が失われ、風邪をひいてしまいます。 特に、日本では梅雨の時期があるため、 雨を防ぐ屋根は絶対に必要となります。昔の家屋では、かやぶきと言って長くて丈夫な草をならべて屋根とし、雨はこの草に沿って流れていき、家の中には雨が入ってこない、というしくみでした。雨を通さない瓦や銅の板などは高価なものだったので、城館や寺社など一部で使われるだけだったのです。やがてカヤの代わりに板が使われる板ぶきとなり、現在では軽量なかわらやゴムシートが利用されています。
2.日差しと軒
寒い冬の日に温かい太陽の光は気持ちのよいものですが、これが夏の暑い日となると不愉快なだけでなく、日焼けにもつながります。また、特に幼児や高齢者にとっては熱中症の危険となります。屋根の延長でもある軒の長さは、夏には日差しをさえぎり、冬には太陽の光を取り入れるようなちょうどよい長さにします。南北に長い日本では、土地によって太陽高度が違いますので、軒の長さも変わってくるというわけです。
3.気温と湿度
家の中の気温と湿度は、高すぎても低すぎても不快です。夏の暑くて湿度が高いときには、風通しをよくし、冬には温かい空気を逃がさない、ということができるよう、窓や扉を設けています。
4.風を防ぐ
山登り中に雨に濡れたうえ風にあたると、夏でも凍死してしまうことがあります。凍死とは凍るわけではなく、人の体から熱が奪われ過ぎて起こることなので夏でも凍死するのです。家には、風を防ぐという機能も必要なのです。また、竜巻や台風の突風で家が壊れたり飛ばされたりしないような工夫も必要で、たとえば沖縄では、家のまわりを石垣で囲って、台風に備えています。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)