Windows10のメモリ増設、「同容量を2枚」でないとダメなの?

Windows10を快適に動作させるのに必要な搭載メモリー量は、32bit版では4GB、64bit版では8GB以上といわれています。Windows10を動作させているパソコンの搭載メモリが、32bit版で2GB、64bit版で4GBでしたら、32bit版では2GB、64bit版では4GB以上のメモリ増設をするのが良いことがわかります。

お使いのパソコンが、「デュアルチャンネル動作」に対応していたら、同容量を2枚搭載するのが最適ですが、手元に同容量のメモリーが無い場合、異なる容量のメモリーを2枚増設することは可能なのでしょうか。また、その場合メモリーのアクセス性能はどの程度になるのでしょうか。

パソコンに3GB(1GB+2GB)と6GB(2GB+4GB)のメモリを搭載した場合を検証してみました。その結果は、同容量のメモリ2枚を搭載した場合よりはアクセス性能は落ちますが、「シングルチャンネル動作」のメモリを搭載した場合よりもかなり良い性能となりました。「シングルチャンネル動作」のメモリを搭載しているパソコンをお使いの方で、お手元に異なるメモリが余っている場合は、メモリの増設をお勧めします。

Windows10のメモリ増設、「異なる容量のメモリ2枚」でもかなりの性能向上が期待できる!

「Windows10のメモリ増設、「同容量を2枚でないとダメなの?」の検証に使用したパソコンは、「Windows7のサポート終了!Windows7以降のパソコンなら少し手を加えるだけで、Windows10が快適に動作(9)」の事例でも紹介した、NECのビジネス用のノートパソコンで、VersaPro VL/Cという機種です。

VersaPro VL/Cという機種は、2つのメモリースロットがありますので、2GBのメモリを2枚さすと4GBの「デュアルチャンネル動作」が可能です。また、4GBメモリを2枚さすと8GBの「デュアルチャンネル動作」が可能です。

 【メモリのデュアルチャンネル動作】
デュアルチャネルとは、パソコンに同じ規格、同じ容量のメモリを2枚取り付け、2枚のメモリーを交互に読み書きすることで転送速度を向上させる技術のことです。これはすべてのパソコンでいえることではなくて、そのパソコンがデュアルチャンネル動作に対応している必要があります。一般的にデュアルチャネル対応のパソコンでは、4GB×1枚のメモリーより、2GB×2枚のメモリーのほうが、体感できるかどうかは別として、 理論的に転送速度が向上します。近年のパソコンの多くがデュアルチャネル対応になっているのは、このためです。

このパソコンに、3GB(1GB+2GB)と6GB(2GB+4GB)のメモリをさした場合はどのような動作になるのでしょうか?3GB(1GB+2GB)では、2GB分が「デュアルチャンネル動作」し、残りの1GBは「シングルチャンネル動作」となります。また、6GB(2GB+4GB)では、4GB分が「デュアルチャンネル動作」し、残りの2GBは「シングルチャンネル動作」となります。

パソコンに、3GB(1GB+2GB)と6GB(2GB+4GB)のメモリを搭載した時、CristalMark2004R3というベンチマークソフトで、「メモリのアクセス性能」と「パソコン全体のパフォーマンス(性能)」を計測してみました。CristalMark2004R3はWindowsXPの時代から使用してきたベンチマークソフトです。

3GB(1GB+2GB)と6GB(2GB+4GB)のメモリを搭載した時のベンチマーク

パソコンに3GB(1GB+2GB)と6GB(2GB+4GB)のメモリを搭載した時、2GBと4GBのメモリをシングルチャンネル動作させた場合のベンチマークと比べるとかなり数値が良くなっている印象ですので、「Windows10のメモリ増設、「デュアルチャンネル動作のメモリ」は本当に速いのか?」の時のデータと比較してみることにします。

2GB(シングル)・3GB(1GB+2GB)・4GB(デュアル)のメモリを搭載した時のベンチマーク比較

3GB(1GB+2GB)のメモリを搭載した場合は、4GB(デュアル)のメモリ搭載時の性能まではいきませんが、2GB(シングル)のメモリ搭載時よりもメモリ性能では30%、パソコンの総合性能でも6%の向上が見られました。

4GB(シングル)・6GB(1GB+2GB)・8GB(デュアル)のメモリを搭載した時のベンチマーク比較

6GB(2GB+4GB)のメモリを搭載した場合は、8GB(デュアル)のメモリ搭載時の性能まではいきませんが、4GB(シングル)のメモリ搭載時よりもメモリ性能では35%、パソコンの総合性能でも7%の向上が見られました。

まとめ

Windows10の32bit版を快適に動作させるのに必要な搭載メモリー量は4GBといわれていますが、32bit版のOSが管理できるのは仕様上3GBまでとなっています。したがって、4GBのメモリを搭載しても1GB分はWindows10では利用できないのです。それでは、1.5GBのメモリを2枚搭載して3GBのメモリを搭載すればよいのですが、メモリは2の乗数の容量のものしか市販されていません。パソコンに二つのメモリースロットがある場合、「1GBと2GBのメモリを搭載して2GB分をデュアルチャンネル動作で利用」という使い方も考えられます。

 【Windows10の32bit版で4GBのメモリを搭載した場合のOSで利用できないメモリの活用法】
Windows10の32bit版に4GBのメモリを搭載した場合、OSの仕様で1GB分のメモリはOSから利用できませんが、ラムディスクソフトを利用すると、1GB分を「一時的なものとなりますが、データを高速でアクセスできるラムディスク」として利用することができます。

Windows10の64bit版を快適に動作させるのに必要な搭載メモリー量は8GB以上ですが、100台以上のパソコンにWindows10の64bit版インストールして使用してみると、6GB以上のメモリーがあれば通常使用ではWindows10の性能低下が見られないことがわかりました。パソコンに二つのメモリースロットがある場合、「2GBと4GBのメモリを搭載して4GB分をデュアルチャンネル動作で利用」という使い方もあるのではないでしょうか。

お使いのパソコンが、デュアルチャンネル動作に対応していたら、同容量を2枚搭載するのが最適ですが、手元に同容量のメモリーが無い場合、異なる容量のメモリーを2枚増設して、パソコンの性能向上を試してみてはいかがでしょうか。