名古屋市科学館にある日本最大級の「元素周期表」で、原子の世界をのぞいてみよう!

名古屋市科学館は、ギネス世界記録に認定された世界最大の直径35mのドームに設置されたプラネタリウムを始め放電ラボや極寒ラボなどの大型展示が目を引きますが、その他の展示物も200点以上もあります。

名古屋市科学館の理工館5階は、「物質・エネルギーのせかい」という展示テーマで展示品が配置されていて、暮らしを支える材料、エネルギー、物質を構成する原子・分子について様々な視点で紹介されています。

名古屋市科学館の理工館5階の「原子・分子」ゾーンには「元素周期表」という展示品があります。この展示品は、日本最大級の大きさで、いろいろな元素の性質やその元素が使われている製品がわかります。また、タッチパネルを操作することで、各元素の詳細も知ることができます。

2019年は、ロシアの科学者ドミトリー・メンデレーエフが「元素周期表」を発表してから150年になることから、ユネスコが「国際周期表年」を制定しました。世界各地で「原子周期表」にまつわる講演会や展示会が開催されています。あなたも、名古屋市科学館にある日本最大級の「元素周期表」で、元素の性質について理解を深めてみませんか。

理工館5階の「原子・分子」ゾーンにある「元素周期表」という展示品

現在、118 種類の元素が国際的に認められています。それらの元素を原子番号順に並べ、さらに性質の似た元素が縦に並ぶように配列した表が「元素周期表」です。

名古屋市科学館にある「元素周期表」という展示品は、元素単体や利用例の実物を展示した「元素周期表」と、タッチパネルから各元素の詳細が調べられる「周期表検索」から構成されています。

「元素周期表」の実物には、「学芸員さんが骨折した時に、骨を固定していたボルト」など、レアなものも展示されていて興味を引きます。
「周期表検索」のタッチパネルでは、「周期表から探る」「元素名から探る」を選択すると、周期表や各元素の詳細を調べることができます。「ものから探る」を選択すると、からだの中にはどんな元素があるかなどを調べることもできます。また、「グループから探る」を選択すると、典型元素がどの元素かなどを調べたりすることもできます。

 【元素記号】
19世紀初め、原子説を唱えたドルトン(イギリス)は、元素の記号を発表しました。その後、ベルセーリウス(スウェーデン)が各元素のラテン語などの頭文字を記号として用いることを提案しました。例えば酸素はOxygeniumであるからOで、水素(Hydrogenium)はH、水銀(Hydrargyrum)も同じHになりますが、そういう場合はもう一字とってHgと書きます。
【原子と元素】
原子とは「物質を構成する基本の粒子」のことで、実体のある粒子です。
元素は「原子番号(陽子の数)によって原子を分類したもの」です。つまり元素は、原子の種類を表す概念です。例えば水素原子は、水素ガス、水、エタノールなどさまざまな状態で存在しています。また水素原子の陽子の数はすべて1個ですが、中性子の数は0個、1個、2個のものが存在します。それらすべての状態を含めて考えた水素という概念が元素です。
1種類だけの元素からできている物質のことを単体といいます。例えば水素ガスは、水素の単体です。さて、水は水素と酸素からできている、といいますね。このとき、水という物質の中に水素ガスという単体が入っているわけではありません。「水素」といったとき、それが元素名なのか単体名かを考える必要があります。また例えば「牛乳にはカルシウムが含まれている」というときは、カルシウム元素が何らかの化合物として含まれているという意味です。カルシウムという単体は、銀色の金属です。この金属が牛乳に含まれているわけではありません。元素は、原子のように具体的なものではなく、抽象的な概念なのです。
【原子の構造と周期表】
元素周期表とは、すべての元素を原子番号の順(ほぼ原子の重さ順)に並べた表です。性質のよく似た元素が縦の列に並んだり一箇所にかたまったりするように配置が工夫された、元素のガイドマップといえます。
ところで、原子番号の順に並べると、性質のよく似た元素が一定の間隔(つまり周期的に)で現れてきます。その理由は原子の構造にあります。
原子は、陽子や中性子の集まりである原子核と、そのまわりを回っている電子から成り立っています。元素につけられた原子番号は、原子の中の陽子の数に一致します。そして陽子の数は、電子の数と同数です。
さて電子はいくつかの層に分かれて存在し、この層を電子殻といいます。内側の電子殻から2、8、18、32…というように電子が入ることのできる最大定員数が決まっていて、エネルギーの低い内側の電子殻から順につまっていきます。電子を6個もつ炭素の原子の場合、内側に2個、その外の電子殻に4個の電子が入ります。
周期表で炭素のすぐ下に書かれている元素はケイ素です。ケイ素の14個の電子は、内側の電子殻から順に2、8、4個入ります。そうすると、いちばん外側の電子殻の電子(価電子という)は、炭素元素と同じ4個です。
このように周期表の縦に並んでいる元素の価電子の数は等しくなります。原子の価電子をやりとりすることで化学反応がおこるので、価電子の数が同じ元素は、化学的性質も似ています。
(名古屋市科学館公式ホームページの展示品解説より)