名古屋市科学館で国内初の有効落差42mの高堰堤式水力発電所で使われていた「フランシス水車」を発見

フランシス水車

名古屋市科学館で、国内初の有効落差42mの高堰堤式水力発電所で使われていたフランシス水車を発見しました。名古屋市科学館の生命館南の屋外展示ゾーンに、大正13年に運転開始した大同電力(現在は関西電力)大井発電所で使用されていた「フランシス水車」が展示されています。

フランシス水車はアメリカのアリスチャルマース製で直径は2.5m、重量は5tもあります。このフランシス水車1台で13,200kwの発電ができます。大井発電所では4台のフランシス水車が設置されているので52,800kwの発電能力がありますが、認可最大出力は52,000kWとなっています。

この発電所に発電用の水を供給するために、木曽川の水を堰き止め、堰堤(えんてい)の高さ55mの大井ダムが、岐阜県中津川市蛭川に建設されました。実はこのダム湖が恵那峡なのです。大井発電所の建設が無ければ、恵那峡も恵那峡ランドもなかったという訳です。

発電用水車の種類

水力発電で使用される水車は、水圧を速度に変えて水車に作用させるペルトン水車などの「衝動水車」と圧力を水車に直接作用させるフランシス水車などの「反動水車」の2種類があります。

「衝動水車」は、小水量で250m以上の落差がある場合に使用されます。「反動水車」は、中~大水量で落差が5~600mの場合に使用され、使用条件によりフランシス水車、斜流水車、プロペラ水車が選定されます。

大井発電所で使用されていたフランシス水車は、ケーシングからガイドベーンを通った流水が、渦巻き型ランナの外周部に半径方向から流入し軸方向に流出する形式です。

フランシス水車は構造が簡単で保守が容易ですが、流量変化による効率の低下が大きいという特徴があります。そこで、大量の水を貯え、常に一定の流量が確保できるダムの建設が必要となります。

名古屋市科学館以外にも、大井発電所で使用されていた水車ランナーとシャフトが、恵那峡遊覧船乗り場近くに展示されているそうです。

新大井発電所

昭和58年、大井発電所の隣に有効落差44mの新大井発電所が完成しました。新大井発電所も立軸単輪単流フランシス水車を使用しています。出力33,000kWの発電機が1台設置され、認可最大出力32,000kW、常時出力15,900kWの水力発電所として運用されています。

水力発電ついて
理工館5階「物質・エネルギーの世界」の「エネルギー」ゾーンに「わたしたちの主なエネルギー」という展示品がありますので参考にしてください。