Windows10のメモリ増設、「デュアルチャンネル動作のメモリ」は本当に速いのか?

Windows10の最適メモリー量は、32bit版では4GB、64bit版では8GB以上といわれています。メモリスロットが2本ある場合は、メモリーの「デュアルチャンネル動作」が可能ですが、同じ容量のメモリーを搭載する場合、シングルチャンネルのメモリー1枚にするか、半分の容量のメモリーを2枚にして「デュアルチャンネル動作」させるのか迷う場合があります。

今回は、同じ容量のメモリーを搭載する場合、「デュアルチャンネル動作」では、シングルチャンネル動作と比べてどの程度メモリー性能が向上するのか検証してみました。検証結果は、「デュアルチャンネル動作にすると、メモリのアクセス性能が40%程度向上する。」ことがわかりました。また、これによりパソコン自体の総合性能も6%程度向上することがわかりましたので参考にしてください。

「デュアルチャンネル動作のメモリ」は本当に速いが、倍速にはならない

「Windows10のメモリ増設、「デュアルチャンネル動作のメモリ」は本当に速いのか?」の検証に使用したパソコンは、「Windows7のサポート終了!Windows7以降のパソコンなら少し手を加えるだけで、Windows10が快適に動作(9)」の事例でも紹介した、NECのビジネス用のノートパソコンで、VersaPro VL/Cという機種です。

VersaPro VL/Cという機種は、2つのメモリースロットがありますので、1GBのメモリを2枚さすと2GBの「デュアルチャンネル動作」が可能です。また、2GBメモリを2枚さすと4GBの「デュアルチャンネル動作」が可能です。

 【メモリのデュアルチャンネル動作】
デュアルチャネルとは、パソコンに同じ規格、同じ容量のメモリを2枚取り付け、2枚のメモリーを交互に読み書きすることで転送速度を向上させる技術のことです。これはすべてのパソコンでいえることではなくて、そのパソコンがデュアルチャンネル動作に対応している必要があります。一般的にデュアルチャネル対応のパソコンでは、4GB×1枚のメモリーより、2GB×2枚のメモリーのほうが、体感できるかどうかは別として、 理論的に転送速度が向上します。近年のパソコンの多くがデュアルチャネル対応になっているのは、このためです。

パソコンの搭載メモリが2GB、4GBの時、CristalMark2004R3というベンチマークソフトで、メモリのシングルチャンネル動作とデュアルチャンネル動作時の「パソコン全体のパフォーマンス(性能)」を計測してみました。CristalMark2004R3はWindowsXPの時代から使用してきたベンチマークソフトです。

搭載メモリ:2GBの場合

搭載メモリ:4GBの場合

パソコンの搭載メモリが2GB、4GBの時、CristalMark2004R3というベンチマークソフトで、メモリの「シングルチャンネル動作」と「デュアルチャンネル動作」時の「パソコン全体の性能(Mark)」と「メモリの総合性能(MEM)」を計測した結果を表にしてみました。

大きな数値の比較ですとわかりにくいので、メモリのシングルチャンネル動作の数値を「1」とした時のデュアルチャンネル動作の数値を計算してみました。

これを見ると、メモリをデュアルチャンネル動作にすると、メモリが2GB、4GBのいずれの場合でも、メモリの総合性能が40%程度向上していることがわかります。また、パソコンの総合性能でも6%程度の性能向上が見られました。

メモリのシングルチャンネル動作とデュアルチャンネル動作時の「メモリの読み書き速度の数値」を比較すると、読み書き速度が同じ程度向上するのではなく、読み込み(Read)速度が40%程度、書き込み(Write)速度は70%以上の向上となっていたのは興味深かったです。

パソコンのメモリを「シングルチャンネル動作」で使用するか、「デュアルチャンネル動作」で使用するかで、体感速度がどの程度向上するかですが、メモリのアクセス速度はもともと高速なのでメモリを「デュアルチャンネル動作」させても、ハードディスクをSSDに交換した時のような劇的な変化があるわけではありません。

しかしながら、メモリの「デュアルチャンネル動作」は、ベンチマークソフトでは明らかにパソコンの性能が向上することがわかりますので、Windows10の32bit版では2GBメモリを2枚搭載して4GBの「デュアルチャンネル動作」、64bit版では4GBメモリを2枚搭載して8GBの「デュアルチャンネル動作」で使用するのが良いことがわかります。

Windows10の64bit版を予算の関係で4GBの「シングルチャンネル動作」で使用しているが、将来4GBのメモリを追加して8GBの「デュアルチャンネル動作」で使用したいという場合などはこの限りではありません。